たとえば胸騒ぎ

私を構成するいくつかの、あの時と今とこれからと。あるいはそのカケラ。

2018-01-01から1年間の記事一覧

『ヒゲちゃん』

新しい年のために 新しいノートを3冊買った。 そのうちの1冊。 これからの 企みのアレコレを描くために選んだのは 無地。 当たり前だけど 罫線もマス目も何もない。 何もないって 迷子のようでいて なんだか 自由だ。 真っ白な明日。 罫線にもマス目にもと…

リフレイン

クリスマスが近づくと いつも思い出す光景がある。 幼稚園の頃。 目覚めた白い朝。 いつもは となりに敷かれたままのはずの おじいちゃんとおばあちゃんの布団が きれいに片付けられてあり 視線の先には すでに寝間着を着替え なんとなくニヤニヤソワソワし…

『余生』

今までの人生で 選ばなかったものがある。 車のハンドルを握りながら思考を巡らし 結局なんやかんやで それを選ばなかっただろうな もしくは 選んだとしても すぐに別の道を進んだだろうな うん 悪くないな 今の状況 なんて フロントガラスを流れる街並みを…

ニオイ

こどもの頃 年寄りは怖かった。 得体の知れない 影 のような気配を 常に漂わせている怖さ。 その恐怖の原因に もし 名前をつけるとしたら それは間違いなく 「死」だ。 「死」というものが 人生最大の謎であるこどもにとって 大好きなおじいちゃんおばあちゃ…

『きみの鳥はうたえる』

今、引っ越しの準備をしている。 気づけば 20回以上引っ越してる。 どうやら 環境の変化に応じて 住処が変わるタイプのようだ。 まぁ 脱皮の一種ね。 先日 仕事やら引っ越し準備やらの合間にできた時間で 久々に映画館へ。 スクリーンに映るのは 何者でもな…

『後悔は先に立たないが役に立つかもしれない』

何の雑誌だったか忘れたけど 「後悔は先に立たないが役に立つかもしれない」は 桑田佳祐のコラムのタイトルだった。 私にとっては ソクラテスや孔子やお釈迦様にならぶ 名言のひとつだ。 知らない ということと どう向き合うか。 そういう技量をためされる場…

黄昏泣きとピアス 後編

久々に着た お気に入りのワンピース 。 それに似合うピアスを 選ぶ朝。 鏡越し 左の耳たぶに並んだふたつの点。 もらったピアスを片方なくして ピアスはもう片耳しかしないぞ なんて そう思ってたのに。 季節は過ぎる。 氷で冷やして 針を焼いて いっそ ひと…

黄昏泣きとピアス 前編

大人になるってなんだろう なんて 中学生みたいなことを考えたりしている。 それはきっと 夕方に聴いた音楽のせい。 ここんとこ やたらざわめいちゃう。 黄昏泣きかよ。

どこでもドアの向こう側

電話の向こうの彼女は 多分酔ってた。 酔っぱらいの話は だいたいいつも長くて だいたいいつも とりとめがない。 そしてなんだか いつも切ない。 楽しみにしてたテレビドラマをひとつ見送って ご無沙汰の その間 彼女の身に起こった現実のドラマを ただひた…

プルート

夜明け前の空に 冬の到来を告げるオリオンが光っていた。 季節は 決してうしろを振り向かず 次の季節にバトンタッチする。 小学生のころ 毎日のように通ったプラネタリウム。 神話はもう 忘れてしまったな。 出崎海岸に寝転んで 降る星たちを数えていたのは …

『メザスヒカリノサキ二アルモノ若しくはパラダイス』

夏の余韻も残さず肌寒くなった朝は 台風一過の青空。 君のうたう声だけで満たされる部屋。 ソファの横には 張りっぱなしの弦のせいで 少しネックが反ってしまったギター。 机の上の 満中陰志のカタログ。 ベランダで風に揺れてキラキラ光るのは ちぎれてしま…

『SPINNUTS』

「最初の気持ち」って いつまで変わらずに 持ち続けていられるんだろうか。 日常の雑事の中で 埋もれてしまいそうな その気持ちを そっとつなぎ止めてくれる SPINNUTS。 昨日 ひとつのさよならを決めた。 その時 意外なほどに 自分の心が凪だった。 だけど …

無駄を楽しむ才能

酔っぱらってない時の自分はいい子だと言う とってもかわいい後輩がいる。 その後輩と飲んでいるときに 酔っぱらいの彼女から 「無駄を楽しんでください」 と言われたことがある。 はっとした。 本人は 私の言うことなんか気にするな というけど 彼女は時々 …

『A HARD DAY'S NIGHT』

『A HARD DAY'S NIGHT』 という雑誌があった。 当時 あまた在る雑誌の中では 異色な存在感を放ち 結構好きだった。 いつ頃からか 気づくとエロ雑誌になっていて すごくがっかりした記憶があるけれど まだ硬派だった時代に 天本英世さんの記事が載っていた。 …

願いを叶える方法

不自由を迫られたときの方が 自由になれるんだろうか。 いくつかの選択肢。 提示される いくつものメッセージ。 見えてくる その先の光景。 思考回路が 切り替わっていく感覚。 未来は 意外なところからやってくる。

乱射

愛が あるとか ないとか。 まるで 夜店の銃を乱暴に撃ちまくり 駄々をこねる こどものようだ。 確かめるすべが 責めることでしかないなら それって 愛なんだろうか。 心が ザラザラと 毛羽立つ。 愛は 求めた時点で 欲にかわってしまうんだろう。 それは支配…

0815

8月15日だというのに タイムラインを賑わせるのは お天気のことと キャッチーだけど そのうちきっと忘れてしまう ニュースばかり。 『Weapons of mass destruction』を聴きながら 大事なことってなんなんだろうって 考えたりしている。 昔ラジオに出た時に …

好きな声が 好きな歌をうたう 仕事に集中しなきゃ だけど 耳が その声を探している 喉の奥がギュッてなるよ

リスペクト、サスペクト

あなたにとって 一番大切にしたいことと わたしにとって 一番大切にしたいことって 違うのにね。 そんなシンプルなことさえ 時々 分かんなくなっちゃうのは なぜなんだろう。 今 どんな顔してたの。

花火

ふたりでバスに乗って ぎゅうぎゅう詰めの つり革の 揺れる身体と 笑い声。 楽しいことが始まる時の あの感じ。 バスの窓に貼ってある広告を見て 人体の不思議展は嫌いだ と言っていた君。 私は ちょっと行ってみたかったな。 河川敷の 草をかき分けた先に …

インタビュー

インタビューって 不思議だ。 本人も思いがけない言葉が ふと ふいをついて 漏れ出してしまうことがある。 はからずも 特別な意味を持ってしまった言葉の その秘密に触れる瞬間は奇跡。 それまでとは違う色を帯びて 共有する秘密。 けれど 語られなかった言…

『夜空はいつでも最高密度の青色だ』

音を消したテレビ画面に映る発光生物たちが 四角い暗闇の水槽の中でゆらめきながら光る。 生物たちが発光する理由が生死との表裏一体だから 美しいんだろうか。 深海は神秘の世界。 最果タヒの 『夜空はいつでも最高密度の青色だ』を 久々にながら読みしてい…

『生きるとは、自分の物語をつくること』

最近 「物語」という言葉を よく見聞きする。 自分が意識しているからかもしれないけれど。 一時期 臨床心理学者の河合隼雄さんの本をよく読んでいて 河合さんは 「魂」や「物語」というのは 人が生きていくうえで とても大切だと 色々な本に繰り返し書いて…

あるいは熱狂

「お入んなさい」 のタイミングに うまく合わせられない縄跳びみたい。 戸惑う心。 ウラハラ。

私にだけ分かる合図

まるで 関係ないかのような顔をして 過ぎていったアレコレが 実は ひとつの方向につながっていて 少しずつ 少しずつ 蓄積され 刺激され 膨張し プルトップを開けた時にはじけ出る炭酸のように 気づいてしまったら もう 元には戻れない。 静と動。 バランスと…

心が動かされるということ

そこに 真実が垣間見えたり 真剣さ 想い 少しの憂い なんかが感じられた時 心が動く。 そして オリジナリティ。 プロフェッショナルとは そういうことだろう と思う。 そういうもんだから という 安心感からは 新しいものは生まれない。 誰にも気づかれない…

満月の夜はだいたい雨

仕事で 大勢の人が集まる場所に行く必要があった。 その日 与えられ期待される役割を 礼儀正しく 笑顔でやりきった。 でも 気持ちがダメだった。 モヤモヤが止まらない。 かつて 大勢の人が苦手 自分のやりたいことしかやりたくない なんて言ってられない状…

観察する

変わること。 変わらないこと。 胸騒ぎのその理由は 無意識が知っている。 胸の奥ではためく輪郭は道しるべ。 宇宙のリズムに乗っかって 進め、進め。 イメージの その先。 白の中へ。

鴨方

誕生日に しばらく行けてなかった おじいちゃんおばあちゃんのお墓参りに行った。 おじいちゃんおばあちゃんのお墓が在る場所は 幼稚園の頃の遊び場でもあったので 懐かしく 心地よい 故郷のような場所だ。 そこは 小高い山の中腹で 空が近く広く 木々が青々…

足の爪

足の爪が 気づかぬうちに すっかり伸びていた。 風呂上がりに ヨガのポーズのような姿勢になって 爪を切る。 いつから 夜に切ることに 抵抗なくなったんだっけ。 罪悪感のカケラもない。 そういえば おじいちゃんの足の爪を切ってあげたことがあった。 亡く…