たとえば胸騒ぎ

私を構成するいくつかの、あの時と今とこれからと。あるいはそのカケラ。

『A HARD DAY'S NIGHT』

 

『A HARD DAY'S NIGHT』

という雑誌があった。

 

当時

あまた在る雑誌の中では

異色な存在感を放ち

結構好きだった。

 

いつ頃からか

気づくとエロ雑誌になっていて

すごくがっかりした記憶があるけれど

まだ硬派だった時代に

天本英世さんの記事が載っていた。

 

その中で天本英世さんは

たしか

「守るものがないということは虚しいが

 失うもののない強さがある」

と語っていた。

 

言葉というのは

不思議だ。

 

同じ言葉でも

通り過ぎてしまうものもあれば

人生まで左右するものもあり

その時々で

必要な言葉は埋もれることなく

もれなく届くよう

うまいことなっている。

 

20代前半の私にとって

当時

その言葉は

あらたに出逢う価値観でもあり

救いでもあり

自分がどうありたいかを考えることの大切さや

人生観の多様性を知る

きっかけにもなった。

 

いくつかの

今までに出逢った

宝物のような言葉のうちの

この

天本英世さんの言葉を

思い出したのは

あらためて

この言葉の意味を考えることが

必要なタイミングだからなんだろうな

と思う。

 

そして

当時はまだ気づけなかった

天本英世さんの人生哲学が

今の私をたすける

メッセージになるんだろうな

経験が教えてくる。

 

タイムマシンがなくったって

言葉は

時空の螺旋をまたにかけ

私を旅へと誘う。