たとえば胸騒ぎ

私を構成するいくつかの、あの時と今とこれからと。あるいはそのカケラ。

あの海

なんだか海に行きたくなったけど 目を閉じて 今まで知っている たくさんの海を思い出すことで折り合いをつけ 大事なことがあることに気づいたからには それを実行する計画を立てることを優先した。 ちょうど 今読んいる小説の主人公が お盆に 海が近くにある…

画竜点睛

12月から始めたあることで 週のうち数日は お昼ごはんは外食。 数件見つけたお気に入りのお店を その日の気分でローテーションさせながら 短い時間 小説に意識を集中させて読む。 読み始めた小説も 私の時間経過とシンクロするように シーンは 冬から春にな…

コールアンドレスポンス

眼鏡を外したままで見る車窓の景色は輪郭が曖昧で 距離ではなく 時空を移動している感覚になった。 移動中 貪るように読んでしまった『よるのふくらみ』。 乗り換えのホームで 微妙にずれながら重なる上下線のアナウンスと踏み切りの音とが 心地悪く混ざり合…

美しさ

人間の情熱や欲望は 老いてなお 果てしなく燃え盛るのだろうか。 「独特老人」に掲載されている老人たちの ほとばしるエネルギーの その源はいったい何なんだろうかと 読み返すたびに 思う。 波乱な人生を送る友だちとのやりとりの中で 彼女は 「生きてます…

『余生』

今までの人生で 選ばなかったものがある。 車のハンドルを握りながら思考を巡らし 結局なんやかんやで それを選ばなかっただろうな もしくは 選んだとしても すぐに別の道を進んだだろうな うん 悪くないな 今の状況 なんて フロントガラスを流れる街並みを…

『後悔は先に立たないが役に立つかもしれない』

何の雑誌だったか忘れたけど 「後悔は先に立たないが役に立つかもしれない」は 桑田佳祐のコラムのタイトルだった。 私にとっては ソクラテスや孔子やお釈迦様にならぶ 名言のひとつだ。 知らない ということと どう向き合うか。 そういう技量をためされる場…

『メザスヒカリノサキ二アルモノ若しくはパラダイス』

夏の余韻も残さず肌寒くなった朝は 台風一過の青空。 君のうたう声だけで満たされる部屋。 ソファの横には 張りっぱなしの弦のせいで 少しネックが反ってしまったギター。 机の上の 満中陰志のカタログ。 ベランダで風に揺れてキラキラ光るのは ちぎれてしま…

『SPINNUTS』

「最初の気持ち」って いつまで変わらずに 持ち続けていられるんだろうか。 日常の雑事の中で 埋もれてしまいそうな その気持ちを そっとつなぎ止めてくれる SPINNUTS。 昨日 ひとつのさよならを決めた。 その時 意外なほどに 自分の心が凪だった。 だけど …

『A HARD DAY'S NIGHT』

『A HARD DAY'S NIGHT』 という雑誌があった。 当時 あまた在る雑誌の中では 異色な存在感を放ち 結構好きだった。 いつ頃からか 気づくとエロ雑誌になっていて すごくがっかりした記憶があるけれど まだ硬派だった時代に 天本英世さんの記事が載っていた。 …

『夜空はいつでも最高密度の青色だ』

音を消したテレビ画面に映る発光生物たちが 四角い暗闇の水槽の中でゆらめきながら光る。 生物たちが発光する理由が生死との表裏一体だから 美しいんだろうか。 深海は神秘の世界。 最果タヒの 『夜空はいつでも最高密度の青色だ』を 久々にながら読みしてい…

『生きるとは、自分の物語をつくること』

最近 「物語」という言葉を よく見聞きする。 自分が意識しているからかもしれないけれど。 一時期 臨床心理学者の河合隼雄さんの本をよく読んでいて 河合さんは 「魂」や「物語」というのは 人が生きていくうえで とても大切だと 色々な本に繰り返し書いて…

『包帯クラブ』

『包帯クラブ』という小説が在る。 随分前に読んだ。 たしか 映画にもなってたな。 私は有り難いことに 入院したことが一度もなくて 大怪我もなくて だから 小さい頃 やたら 包帯を巻いている人に憧れた。 なんか 特別感 というか 非日常感 があった。 電車…