コールアンドレスポンス
眼鏡を外したままで見る車窓の景色は輪郭が曖昧で
距離ではなく
時空を移動している感覚になった。
移動中
貪るように読んでしまった『よるのふくらみ』。
乗り換えのホームで
微妙にずれながら重なる上下線のアナウンスと踏み切りの音とが
心地悪く混ざり合って
それがなんだかドラマの演出みたいに
場面に臨場感を与えて
現実と物語が絶妙にシンクロする。
読み終わって
泣きそうになるのとも違う
吐きそうな気持ちになったのはなんでだろう。
白く大きな月が
忍者のようにススススと
バスに乗った私の右の窓とぴったり平行移動する。
昔
意味を聞きそびれてしまった言葉を思い出したりした。