『包帯クラブ』
『包帯クラブ』という小説が在る。
随分前に読んだ。
たしか
映画にもなってたな。
私は有り難いことに
入院したことが一度もなくて
大怪我もなくて
だから
小さい頃
やたら
包帯を巻いている人に憧れた。
なんか
特別感
というか
非日常感
があった。
電車の中や
すれ違う人が
花束を持っているのを見かけた
その時の感覚に
少し似ているかもしれない。
非日常感。
包帯をくるくると巻く行為は
早く治りますように
と
おまじないをかけている感じにも
似ている。
そのやわらかさで
優しく
そっと
包み込まれる安心感。
痛いの痛いの飛んでいけ。
日常は
やってられないことも
いっぱいある。
小説やドラマみたいに
いいところで
終わらない。
チクッと
知らぬ間に刺さった小さなとげの断片が
抜けずに皮膚に潜り込み
居座る。
そして
ふとした瞬間に
触ってしまったその異物が
待ってました
と
痛みを思い出させる。
心だって
傷ついたなら
見えない包帯をそっと巻いて。
もういいと思えるまで。
癒えるまで。
日常は
どこまでもどこまでも続く。
野を超え
山を越え
谷を越え
タフになってやろうぜ。
心の声を聞かせてくれた
繊細で
未知の世界に果敢に挑むあなたを
心から尊敬している。
痛いの痛いの飛んでいけ。