たとえば胸騒ぎ

私を構成するいくつかの、あの時と今とこれからと。あるいはそのカケラ。

発光する命

  

いつもちゃんと奇麗にして

テキパキとしている女の子が

その日は

なんだか全体的に

モワッ

としていた。

 

2ミリくらい

宙に浮いてる感じ

とでもいうか。

 

その日

「ちょっと風邪ひいたかもしれない」

と言う彼女は

体調が万全でないにもかかわらず

約束していた作業を

手伝いに来てくれていた。

 

淡々と作業をこなしながらも

いつもと雰囲気の違う彼女を

見るとはなしに

なんとなく見た時

彼女は

発光していた。

 

彼女のシルエット全体が

繭に包まれたように

白く

うすぼんやりと縁取りされてる感じで

その中に居る彼女自身もまた

なんだかやっぱり

ぼんやりとしていて

髪の毛なんかも

静電気で逆毛立った感じに見えて

その

ぼんやり感とは対照的に

彼女の身体から

エネルギー以外の何者でもないことを悟らせる

金色の光が放たれていた。

 

それは

見たことがない

不思議な光だった。

 

一瞬の出来事だった。

 

翌日

彼女から

体調が悪いので病院に行ったら

妊娠していたことが分かった

という電話をもらった。

 

私が見た

あの美しい光は

いわゆる

オーラだったのかもしれない。

 

彼女の身体の中に宿った命から

彼女さえ気づかないところで

この世に生を受けた喜びのエネルギーが溢れ出して

光となって

彼女を発光させていたんだと

私は思っている。

 

あれから

後にも先にも

人が光を纏っているのを見たのは

あの時だけ。

 

でも

なんとなく確信した。

 

命は光を放つ。

 

私たちは発光体。