たとえば胸騒ぎ

私を構成するいくつかの、あの時と今とこれからと。あるいはそのカケラ。

スーパースター

 

こどもの頃

なんでそれが好きだったのか

理由を思い出せないことが

いくつかある。

 

生の酒粕シートに

上白糖をたっぷりのせてそのまま食べたりとか。

ミミズのお墓をつくることとか。

 

すっかり忘れていても

やたら親が覚えていて

あらためて思い出すことも

ままある。

 

そのひとつ。

私は衣笠が好きだった。

 

小学生の頃

男子の憧れは野球選手で

みんなどこかの球団の野球帽を被っていたし

だいたいスポ少に入っていた。

 

お菓子のオマケには

野球選手のカードが付いていて

好きな子が好きな選手のカードを引き当てては

好きな子にそれをあげたりしていた。

 

巨人には、長嶋と王。

阪神は掛布に田渕。

そして広島は

山本浩二に江夏、そして衣笠。

 

並み居るスーパースターの中で

こどもの頃の私のハートを射止めた衣笠。

 

その鉄人が

この世を去った。

 

かっこいい

とは

どういうことかを教えてくれた

衣笠。

 

どうかどうか、安らかに。

 

今日の日本列島は

きっと

衣笠を想う涙雨。