光の輪郭
もしもタイムマシンがあったら。
もしもタイムマシンがあったら
あの頃の自分と話をしてみたいと思う。
自分が
一番自分であったあの頃。
昨日
その当時よく一緒に行動していて
いろんな刺激を与えてくれた人が
今年の初めに亡くなっていたことを知った。
最後に会ったのはいつだったっけか。
確か
久しぶりに会ったツレと一緒にいて
駅前で
弾き語りをしている若者にリクエストしたりなんかしながら
自動販売機で
あんまり買うこともなくなっていた缶コーヒーを
昔みたいに買ってたとき
もう
呼ぶ人も少なくなった名前を不意に呼ばれて振り返ると
その人が笑って立っていた。
3人が揃うのはものすごくレアで
いやあ久しぶり
すごい偶然
こんなところで会うなんてね
元気にしてんの
なんて話しながら
昔とは同じでいられないことをみんな分かっていて
じゃあまたいつかね
って感じで
軽く別れた。
それが多分
最後。
そのいつかは
永遠になくなってしまったんだな。
その人は
出会った時から亡くなるまで
ずっと
その人の道を歩いていた。
どんな気持ちで
その道を歩いていたんだろう。
その人の死を
昨日知った
そのことの意味を考えている。
リンダ、うたってる?
あの笑顔で
そう問いかけられている気がする。
あの海
なんだか海に行きたくなったけど
目を閉じて
今まで知っている
たくさんの海を思い出すことで折り合いをつけ
大事なことがあることに気づいたからには
それを実行する計画を立てることを優先した。
ちょうど
今読んいる小説の主人公が
お盆に
海が近くにあるおばあちゃん家に行って
あの
ジリジリする
夏の海を満喫しているシーンになったおかげで
イメージの中
私も夏の海を体感する。
新たな展開を予感させる物語の日付は8月12日
というシンクロ。
海に行かなかった
今と
これからの私への
夏からの贈り物だと思った。
カバンに入れていたペットボトルを取り出し
テーブルに置いたら
赤い液体の中の小さな泡が
いくつもいくつも
ぷくぷくと揺れながら浮かんでいく。
あっ
海みたい。
すべてわかる必要はないのかもしれない
ことばに意味を感じる時
何らかの意思が反映されている。
状況に意味を感じる時
何らかの意思が反映されている。
それは
他の誰でもなく
まぎれもない自分の意思だ。
敏感でもいいんだよ。
違和感は
未来を照らすサーチライトです。
だから
怖がらないで
もっと近くにおいでよ。