たとえば胸騒ぎ

私を構成するいくつかの、あの時と今とこれからと。あるいはそのカケラ。

記憶のしおり

 

再放送の「18祭」を観て

朝からやたら泣けた。

そういえば

今日は成人の日。

 

成人式に何もしてあげれんかったなと

居間にいた母親が言う。

 

お父さんに

スーツを買ってもらったから

大丈夫

と返す。

 

あれはたしか

VIVAYOU だったか。

 

式には

男友達数人と一緒に参加した。

 

当時

お世話になっていたマスターが

こんな時くらいは

女友達と行ったらいいのにと思っとったんじゃ

ぽつりとつぶやいた。

 

いつものようにふざけ合う男友達をよそ目に

私は

その言葉をただ黙って聞いた。

 

今日

そのマスターの夢を見た。

偶然なのかな。

 

ある時期

ダイビングがしたくて

でも

したいと思いながらも月日は過ぎて

思い切って

ドキドキしながら

近所のダイビングショップに行った。

 

すると

そのショップのお兄さんに

「ダイビングなんて

 悩んでやるもんじゃないよ。

 やりたいと思ったらやればいいんだ。」

と笑顔で言われ

そうか

そうだよな

力が抜ける思いがした。

 

それから数年経ったある日

そのお兄さんが

バイク事故で亡くなったことを知った。

 

多分

歳は近かったはず。

 

20代。

 

やりたいこと

まだまだ

いっぱいあっただろうな。

 

手をつないでもらって初めて潜った海の中は

きれいだったな。

 

今日

なんで

思い出したんだろう。

 

記憶の本棚の中のしおりのように

開けばいつもそこに

大切なしるしがある。

 

だけど

どの本を選ぶのかは

いつだって気まぐれのようでいて

選ばされているようでもある。